フリーランス新法の案が公表されました。
国内で働くフリーランスの方を保護するため、政府が新しい法制度の検討を進めています。
現在フリーランスの方や、フリーランスとのお取引がある企業様は、注目の新法です。
※この新法は、2023年の通常国会での成立が予定されています。
先日、内閣官房によりパブリックコメントの募集が開始され、新法の“案”が公示されました。
(参考:フリーランスに係る取引適正化のための法制度の方向性)
公示内容には、フリーランスを取り巻く“現状と課題”、“方向性”が以下の旨記載されています。
<フリーランスの現状と課題>
・国内のフリーランス人口が約462万人と増加傾向にある
・報酬の支払遅延などのトラブルを経験する方が増えており、かつ特定の発注者への
依存度が高い傾向にある。
・フリーランスは、下請法など現行の取引法制では保護対象とならない方が多い
<新法の方向性>
・フリーランスの取引を適正化し、安定的に働くことのできる環境を整備する
・他人を使用する事業者が、フリーランスに業務を委託する際の遵守事項等を定める
※この新法案では、フリーランス=業務委託の相手方である事業者で、他人を使用していない者
と定義されています。
今回の新法案によると、フリーランスに業務委託を行う発注企業側に、
以下の義務が課されることとなっております。
<発注企業側に課される義務>
1.業務委託の開始・終了に関する義務
2.業務委託の募集に関する義務
3.報酬の支払に関する義務
これらの義務が課されることにより、発注企業で以下のような対応が必要となります。
・業務委託を行う際、業務内容・報酬額を書面又はメールで通知
・一定期間の間業務委託を行う場合は、通知書面に契約期間・契約終了事由も記載する
・継続的な業務委託を行う場合、契約の中途解除等を行うときは30日前までに予告する
・フリーランスへの報酬支払は、業務完了から60日以内に行う
・フリーランスの利益を不当に減らす行為は禁止
など(詳細は冒頭の新法案資料を御覧ください)
現行の下請法では、“資本金が1,000万円超の企業が資本金1,000万円以下の企業または
個人事業主へ業務委託を行う場合”から、規制の対象となっております。
しかし、この新法が施行されると、発注者側の資本金にかかわらず、フリーランスに
業務委託を行う“すべての”企業が規制の対象となります。
また、新法に違反した場合は「行政上の措置として助言、指導、勧告、公表、命令を
行う」とされており、フリーランスの相談窓口が設けられる旨も記載されております。
現段階ではあくまで新法“案”ですが、施行後は多くの企業に影響を及ぼす法制度
であることは間違いありません。
現在フリーランスの方や、フリーランスとのお取引がある企業様は、今後の動向を
注視下さい。