経営者保証が減少する?

11月1日、金融機関を監視・監督する金融庁が、監督指針の改正案を公表しました。

これにより、来年4月以降の経営者保証に対する制限は、より強くなりそうです。

(経営者保証=会社が融資を受ける際、経営者個人が連帯保証人になること)

経営者保証には、

 ●経営への規律付け(経営に緊張感をもたらす)

 ●資金調達の円滑化(会社に不足している信用を経営者個人が補完する)

という メリット がある一方で、

 ●思い切った事業展開や早期の事業再生を妨げる

 ●円滑な事業承継を妨げる

といった デメリット があります。

このようなデメリットを解消するため、平成25年に「経営者保証に関するガイドライン

が定められ、経営者保証に依存した融資を減らすよう要請が行われていました。

しかし、このガイドラインに法的拘束力はなく、2021年度の民間金融機関における

「経営者保証ナシ」の貸付は、全体の30%弱にとどまる結果となりました。

このようなことから、監督指針の改正案が策定され、経営者保証からの脱却が

より推し進められる方向となっております。

公表された監督指針(改正案)は、金融機関に以下のような説明義務を課し、

さらにその結果を書面または電子的方法で記録することを求める内容となっております。

(2023年4月以降の経営者保証が対象となります。)

<金融機関が経営者保証を要求する際の説明事項>

●保証の法的効果と保証人が負うリスク

●保証が必要となる個別具体的な理由

●保証解除にあたり必要な改善点    など

この指針改正により、起業・事業承継が行いやすい環境が整う一方、

来年4月以降に経営者保証が行われる場合は、貸出に伴う金融機関の手間が

「間違いなく」増えることになり、これによる貸し渋りが懸念されるところです。

ちなみに「経営者保証に関するガイドライン」によると、経営者保証ナシで融資を

受けるためには、以下3要件の 全て または 一部 を満たすことが必要とされています。

※保証を不要とするか否かの最終判断は、金融機関に委ねられています。

<経営者保証ガイドラインの3要件>

資産の所有やお金のやりとりに関して、法人と経営者が明確に区分・分離されている

財務基盤が強化されており、法人のみの資産や収益力で返済が可能である

金融機関に対し、適時適切に財務情報が開示されている

※上記要件の全てまたは一部を満たせば、経営者保証ナシの可能性が高まるとされています。

「創業間もない」「業績が悪化傾向」などで、融資における信用が不足している

事業者様につきましては、今後も経営者保証アリの融資を検討せざるを得ません。

監督指針の改正により、来年4月以降は経営者保証のハードルが上がるかも知れませんので、

来年に資金調達のご予定があれば、年明け早々に申込みを行うこともご検討下さい。